お知らせ

ご報告  2023/05/24
【職員研修】 ふるさとの会顧問・佐藤幹夫氏
  2023年 3月25日 13:30〜15:30

2023年度 佐藤幹夫顧問による全体研修(第一回)
『「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと』 から始まったふるさとの会の対人援助論・新版
 
 
  今回の研修では、養護学校の教員を20年以上務められたあと、フリーのジャーナリストとして活動され、またふるさとの会の顧問として15年に渡ってご指導を頂いている佐藤幹夫氏に『「自閉症」の子どもたちと考えてきたこと』 から始まったふるさとの会の対人援助論・新版、というテーマで講演をお願いしました。佐藤氏は評論家として批評誌「飢餓陣営」の主催者として幅広い分野で評論活動を行っておられます。主な著書に「自閉症裁判」(朝日文庫)「一七歳の自閉症裁判」(現代岩波文庫)など多数、最新刊に「津久井やまゆり園“優生テロ”事件、その深層とその後」(現代書館)があります。
 昨年の5月に行われた佐藤顧問による全体研修から1年、昨年の今頃はまだ新型コロナパンデミックが治まらず、全体研修もリモートでモニター越しに行われましたが、今回は本部3階に職員が集合して行われました。佐藤顧問は養護学校の教員を20年以上務められたあと、フリーのジャーナリストとして活動されています
 
 まずは佐藤顧問から、新型コロナパンデミックとロシア―ウクライナ戦争の勃発によるこの1年間の、社会や、ふるさとの会や、佐藤氏自身に与えた影響を挙げて下さいました。「死」や戦争が、日常の、身近なところに顔を見せるようになった、とくに支援の現場では、「生と死」がぎりぎり交錯するところでのケアを余儀なくされることが多かった。ふるさとの会の高齢利用者「戦争体験者」にとって、小さくない動揺をもたらしたはず。社会は簡単に悪い方向へ変わってしまうこと、いかに脆弱なシステムかが露呈したということを述べられました。
 
 
 
  また佐藤氏自身、「津久井やまゆり園事件」の本をまとめたことで、人生最大の宿題を終えたという実感を得たとのことでした。自分が何をやってきて、どうやって生きてきたのか、そのまとめだったとのことでした。「障害」とは何か、「重度障害者」とはどんな存在か、障害を持つ人たちの社会的逸脱行動や犯罪はなぜ起こるのか、犯罪とは何か、彼らを裁くとはどういうことかを考え続けてきた中で、「ふるさと型生活支援論=対人援助論」には多くの領域がカバーされており、または領域を超えた、トータルな支援論であるという。このことを念頭におき、三回の全体研修が開催され、今年の第一回目が開催されました。
 
 この研修の第一回目は、その人をどう「知る・わかる」か、人間関係をどう見るかという関係の視点に重点的にスポットを当て、「視点の転換」や「意味の変容」「体験世界の理解」について考察されました。第二回目は、問題行動を抑制しない、「抱き合い喧嘩」について、パニックはどうして起こるのか、なぜ社会的逸脱行動をしてしまうのかについて考えていく。第三回目は、「言葉の上乗せ」や「体験世界と意味世界」について、「言葉」という問題にスポットを当てて考えてみたいとの抱負を語られました。
 佐藤顧問は 「障害」という問題を、家族として10年、教員として20年、物書きとして20年に渡り考察を重ね、並行して「ふるさとの会」の事例検討会で15年、学んできたと仰います。その経験が、ふるさとの会の支援論、対人援助論を考えるうえで中心的存在として、長年に渡り支え続けて下さっています。
 
(ふるさと晃荘施設長 平山)