第108号   2015年10月31日    
   
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1.なじみの地域で最期まで
2.「寄りそい地域」特集
3.アジア諸国より研修生の皆さんご来訪
4.「連合・愛のカンパ」助成金のご報告
 
 
1.なじみの地域で最期まで 
 

現在、山谷地域で長年暮らしてきた山田さん(仮名、86歳)が、最期まで仲間とのんびり集える場所を造っています。お友達の皆さんはじめ、職員も、お医者さんも、看護師さんも、ヘルパーさんも、役所の人も参加して、話し合いを重ね、くつろげる居場所づくりを模索しています。お手伝いいただいている方の中にも、「自分も年とったときにこういう場所があると安心です」と話されている方がいました。若い方は、「やりがいがあります。どんどんやっていきたいです!」と楽しそうでした。山田さんも仲間といると食欲旺盛のようです。

イラストは山田さんの生活圏である山谷地域です。なじみの風景や人がどれだけ人に元気と命をあたえるのか、逆にそこから離れることがどれだけ辛いことなのか、つくづく考えさせられます。
改装途中の写真。ゴロゴロできるように全面畳にリニューアル計画中です!みんなで家具を移動したり、畳を敷いたりしていい汗をかきました。 
 
 
 
 
 
2.「寄りそい地域」特集
 
 
 
ふるさとの会として初めて墨田区に設置したふるさとせせらぎ館がこのたび、東京都からの改修補助を受け9月から「寄りそい型宿泊所」としてリニューアルオープンいたしました。

「寄りそい型宿泊所事業」は、高齢者等の支援体制において一定の水準を満たす宿泊所を、「中間的居場所」として機能強化を図り、区市を通じた財政支援を行うものです。

せせらぎ館は2002年に定員38名の第二種社会福祉事業宿泊所として運営を開始し、今年で13年目を迎えました。今回の改修工事では浴槽や水回りのバリアフリー化と全室個室化を行いました。定員は38名から25名に変更となりました。

(写真)左:三好館長  右:入居者の方
 
 
 
8月29日平山洋介教授(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)を講師にお迎えして、公開職員研修会を開催しました。

講演「住宅保障の理論と実践」では、住まいの安定があってはじめて自立支援や高齢者の支援が可能になるという観点から、住まいの問題が今どうなっているかをお話しいただきました。脱成長の時代に入り、戦後の住宅政策の条件は大きく変わったこと。また、低所得者、高齢者等が民間借家を活用するためには、生活支援がポイントになり、住宅設計も結婚や家族形成を前提にしたものから転換せざるをえないこと。「住宅そのものの基準だけではなく、‟街に住む”という空間の構成を考えると、自分の部屋は狭いけどふらっと立ち寄れる場所があるとか、生活支援があるとか、‟街の基準”のようなものがあってもよいのではないか」という趣旨のお話しがありました。
 
(写真)右から、平山氏、林泰義氏(まちづくりプランナー)、岸本幸子氏(公益財団法人パブリックリソース財団代表理事)、当会の滝脇憲理事と舘野毅職員。
 
 
 
せせらぎ館の定員が減ることに対応するため、ふるさとの会では空き家などの地域の既存のストックを活用し、住まいと生活支援を組み合わせ、地域サロンを展開する「寄りそい地域事業」を7月から開始しました。

この事業では、大家・不動産事業者が事業の主体になり、同時にコミュニティ再生の主体にもなることを模索しています。ふるさとの会のグループで家賃債務保証などを行ってきた株式会社ふるさとも、今年3月から不動産事業を始めました。

一緒に暮らしてきた仲間同士で支えあい、地域で暮らし続けられるように、7月から墨田区京島と八広にある2軒の戸建て(各3名定員)をグループリビングに改装しました。「●●さんと一緒なら安心だ」と、高齢だったり、障害があったりする単身男性の方6名が入居しました。また、八広には戸建てを改装した支援付きアパートに改装し、4名が入居しました。京島のキラキラ橘商店街に「えんがわサロン京島」というサロンを開設し、日常生活の困りごとの相談を受け付けます。気軽に立ち寄れる憩いの場でもあり、定期的に食事会や商店街と一緒にイベントを行っています。

「街に住む」「地域が近い」をスローガンに「寄りそい地域事業」を進めてゆきます。

右上の写真は、京三ハウスです。京島3丁目にあるのでそう命名しました。3名が入居できます。これまでは大人数(多いところだと80名)の施設か独居の方の生活支援が中心でしたが、寄りそい地域事業では、京三ハウスのような小規模の戸建てを活用して30名ほどの方を1ユニットとして支援していこうと考えています。

サポートの拠点になるのは、左の写真にある「えんがわサロン京島」です。ここには生活支援の研修・検定を受けた職員が24時間常駐し、定期的な巡回や、トラブルミーティングを通じた互助作りなどを行っています。座っているのは、マスター(?!)の舘野職員です。サロンは、入居者の方や地域の方の居場所であり、映画鑑賞会など、地域や商店街を盛り上げる拠点になっています。

10月23日都政新報にて寄りそい地域事業が紹介されました!
「居住と生活の一体的支援を 家主も担う地域包括ケア」
http://www.hurusatonokai.jp/houdou/20151023tosei.pdf
 
 
 
10月5日、東京都福祉保健局生活福祉部の方々が、墨田区の事業所を視察されました。自立援助ホーム「ふるさと東駒形荘」、寄りそい型宿泊所「ふるさとせせらぎ館」、寄りそい地域事業として展開している「えんがわサロン京島」、「京三ハウス」、「八二ハウス」、支援付きアパート「オリーブハイツ」などを見ていただきました。サロンでは、空き家を活用した支援付き住宅の展望や、生活支援による互助づくりなどについて意見交換を行いました。
 
(左)東駒形荘にて自立援助ホームの事業説明
(中)京三ハウス前にて京島の路地を案内
(右)えんがわサロン京島にて意見交換
 
 
 
寄りそい地域事業の主役は地元の大家さんと不動産屋さんです。たとえ高齢な方への親身な気持ちがあっても、お部屋を貸すとなるといろいろな不安があります。大家さんの不安をとり除いていき、住み慣れた地域に住むことが難しい認知症や精神障害を抱えた方などに住まいを提供していくのが社会的不動産です。㈱ふるさとによる不動産事業では、入居者が孤立しないようにサロンを商店街に設置し、入居後の相談や定期的な安否確認をNPO法人ふるさとの会に委託しています。

お付き合いのある大家さんからは、「トラブルがあっても駆けつけてくれるから安心です」、「(改装予定のアパートは)昔の長屋のような感じになるのですね」と温かいご意見をいただいています。

(写真)㈱ふるさとで不動産事業を担当している鈴木宏仁店長
 
3.アジア諸国より研修生の皆さんご来訪 
 

9月15日、全国社会福祉協議会を通じてアジアから研修生5名が見学に来られました。

空き家や空き旅館を活用しての事業展開には強く関心を持たれ、母国でも参考にしたいという声を頂きました。アジアのなかでは日本が最も高齢化社会が進んでいます。このような機会を通じて、お互いの経験を交流し、誰もが安心して暮らしてゆける社会をともに作ってゆきたいと思います。 
 
4.「連合・愛のカンパ」助成金のご報告 
 
このたび日本労働組合総連合会(連合)さまより、「連合・愛のカンパ 地域助成」の助成金をいただくことになりました。連合様、そしてカンパをいただきました構成組織様・地方連合会様に心より深く感謝申し上げます。

今回の助成では、新宿区大久保で運営するコミュニティカフェ「まちカフェふるさと」の相談事業の一部に充てさせていただくことが決定しました。地域のなかで誰もが孤立せず、老いも若きもがお互いに支えあい、安心して暮らせる地域、居場所を作れるように「まちカフェふるさと」を運営してまいります。
 
発行元:特定非営利活動法人 自立支援センターふるさとの会
〒111-0031東京都台東区千束4-39-6-4F
  TEL:03-3876-8150  
  FAX:03-3876-7950   
  E-mail:info@hurusatonokai.jp 
  HP:http://www.hurusatonokai.jp/