第110号   2016年4月13日    
   
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特集
地域包括ケアシステムと寄りそい地域事業
 
ふるさとの会では空き家などの地域の既存のストックを活用し、住まいと生活支援を組み合わせ、地域サロンを展開する「寄りそい地域事業」を27年7月から開始しました。

この事業では、大家・不動産事業者が事業の主体になり、同時にコミュニティ再生の主体にもなることを目指しています。「街に住む」「地域に近い」をスローガンに「寄りそい地域事業」を進めています。

団塊世代が後期高齢者になる2025年に向けて、政府では地域包括ケアシステムづくりが進められています。今回のメールマガジンでは地域包括ケアシステムにおける「寄りそい地域事業」をテーマに、厚労省や東京都など各方面から「寄りそい地域事業」を視察頂き、意見交換や対外講演を行った内容をご報告いたします。
 
 
2016年2月6日(土曜日)に「西東京市における共生社会の実現」をテーマとしたシンポジウムに当会の瀧脇理事が「家主も担う地域包括ケア~寄りそい支援事業~」と題して報告させていただきました。

西東京市では、9年後の2025年に向け、西東京市版地域包括ケアシステムの構築を目指していますが、認知症、障害、傷病、難病、虐待、生活困窮、住宅困窮等、地域には様々な困難を抱えている人がいます、こうした困難を抱えた方々を、どう支えていくか、また、どう共生できる環境づくりをどう作っていくのかが大きな課題となっています。

今回のシンポジウムでは、地域で支える医療・保健・福祉の関係団体が一堂に集まり、今後の協働・連携と地域づくりを考えるスタートにし、そしてお互いを理解しあう場、課題を共有する場、共に考える場として開催されました。

第1部は、子ども・障害者・高齢者ほか各分野8人からの報告がありました。分野は高齢者のみならず、子ども家庭支援センター、保健所、福祉事務所、精神科病院からの地域移行など、多世代全対象型の地域包括ケアを目指した報告となりました。

ふるさとの会では2016年度より西東京市での事業展開を準備致しております。地域包括ケアのなかの資源として、これまで培ってきた住まいと生活支援のノウハウとソフトを、地域ネットワークに支えられながら活かし、地域に貢献してゆきたいと思います。

写真左:シンポジウム「西東京市における共生社会の実現」(2月6日)懇親会にて西東京市丸山市長(中央)と  
 
 
12月12日(土)、厚生労働省老健局振興課地域包括ケア推進係生活支援サービス係、社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室より6名の方が墨田区京島でのサロン及び空き家活用による「寄りそい地域事業」の視察に来られました。厚労省では2025年に向けて地域包括ケアシステムの構築を準備しており、現場を見学いただきながら、地域ネットワークを作ってゆくとともに、地域のなかでいかに互助を作ってゆくのかについて意見交換いたしました。
 
写真左:えんがわサロン京島にて
写真右:ふるさと東駒形荘を見学
 
17日には東京都福祉保健局から少子高齢化対策担当の黒田祥之理事、高齢社会対策部の西村信一部長が、墨田区京島地区で展開している「寄りそい地域事業」の視察に来られました。

空き家を活用した取り組みを見学いただいたのちに、京島の縁側サロンの和室でくつろいだ雰囲気で意見交換。互助ハウスを見学いただき、実際に利用者が居間に集まり「ほっこり」と団らんする様子を見て「まるで家族のようですね」と感想を述べられたのが印象的でした。
 
写真左:右二番目より黒田理事、西村高齢社会対策部長
写真右:京三ハウスを見学
 
 
12月24日 地域包括ケアシステムの在り方検討会議の第7回において、ふるさとの会の瀧脇(常務理事)が委員として「低所得高齢者等への住まいの確保と生活支援について」発表させていただきました。

東京都では、「東京都長期ビジョン」及び「第6期東京都高齢者保健福祉計画」で示した東京の現状と将来像を踏まえ、東京にふさわしい地域包括ケアシステムの在り方を検討することにより、都の新たな施策形成につなげることを目的として、有識者による「福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議」を設置しています。

中間のまとめとして、「高齢期の住まい方- 地域のマネジメント」として以下のような課題と対応策が出されています。

<課題と対応策>
【課題】活用できる空き家が存在する一方で、家主側の各種トラブルに対する懸念等から低所得高齢者等は適切な住まいが確保しにくい。
【対応策】不動産主体と福祉関係主体が連携し、住まいの確保と見守りなどの支援を一体的に提供する取組を更に促進させることが必要ではないか。

*詳しい会議資料等は下記のアドレスから閲覧可能です

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kourei/shisaku/chiikihoukatsukaigi/

 
 
12月18日、東京都主税局の徴収担当職員の方々を対象にした「平成27年度ステップアップ研修」で、「地域資源(空き家等)を活用した低所得高齢者の住まい」について講演を行いました。滞納者には低所得者が多いことから、高齢者の抱える問題にも目を向けて視野を広げ、地域包括ケアシステムの重要性を考えるきっかけとしたいということでご依頼を承りました。当日は、税の滞納と家賃滞納の背景に共通してある生活課題や、「トラブルを起こした人の世界を皆で一緒に見る」という対人援助の考え方などについて意見交換を行いました。
 
 
10月15日、東京都庁において東京都居住支援協議会セミナーが開催され、「寄りそい地域事業の可能性について」報告を行いました。平成27年度第2回の今回は、「都民の居住の安定確保に向けて」というテーマで、不動産関係団体、居住支援団体職員、区市町村職員等が参加されました。

少子高齢化が進む中で、単身高齢者、子育て世帯、低額所得者等の居住の安定確保がこれまで以上に求められています。住民・NPOなどによる住まい、生活支援、地域活性化等を一体的に行う取り組みを促進するためには、空き家や空き室を所有するオーナーの協力はもちろんのこと、事業を軌道に乗せるためのモデルを確立し、関係者に提示することが有効とされています。

当日は、大阪市立大学都市研究プラザの水内俊雄教授による基調講演「社会的不動産業・大家などによるインターシティ再生の可能性」に続き、寄りそい地域事業の進捗を報告しました。
 
 
『絆づくりが私たちの役目』
ふるさとの会では、「誰もが安心して孤立せず最期まで暮らせるような地域」を作ってゆくために、一緒に取り組んでくれる仲間を募集しています。

ふるさとの会では、都内の各地域にサポートセンターを設置し、生活困窮状態にある高齢者・若年者・障害者等にむけた総合相談・生活支援事業を行っています。

様々な生活課題、心身の疾病や障害など自立を阻害する要因を抱えた対象者に適切な支援を提供するためには、福祉・医療・介護・行政サービス等の制度・法律や、援助技術を学ぶ必要があります。福祉資格の有無に限らず、社会福祉を志す熱意のある職員を法人独自の研修制度により育成し、また、「寄りそい支援」に沿った内容で、ケア検定制度を設けることにより、段階に応じた職員研修を行っています。
募集ページ
ケア検定制度詳細


写真:活動紹介。一緒に暮らしてきた方の火葬に参加する利用者の皆さんと三好施設長(写真上)   ⇒詳しくはメルマガ109号をご覧ください
 
発行元:特定非営利活動法人 自立支援センターふるさとの会
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